妻が合流し、不用品の片づけが本格化した。
まずは、台所の食器棚、食器類、居間のソファー、玄関の本棚、本類を処分することにした。
ホームセンターからダンボールを買ってきて、それに食器類を詰めていく。本類はビニールヒモで十文字に縛り、玄関の空いているスペースに山積みしていった。
業者に全部丸投げする方法がないわけではなかったが、一個ずつ手に取ってみることで、本当に処分していいものかどうか自分の目で確認しておきたかった。
不思議ととっておきたいと思うものはほとんどなかった。
地元の町史があった。分厚くて立派な装丁の本だった。あとに入る人に役立つかもしれないと思い、残しておくことにした。ほかには未開封の砂糖、塩、防虫剤ぐらいだった。
その日の夜、実家の裏を流れる川にホタルが乱舞していた。
「舞い降りる 先は妻の手 恋ホタル」
妻も1句作った。
「たかふみや ばあちゃん怒りに 来たホタル」