私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

8.コラム

相続人41人による遺産分割協議

平成8年春のことだった。 実家のある役場から私宛に一通の手紙が配達されてきた。 何だろうと封を切ってみると、中には便せんが2枚。実家の土地で1筆だけ曾々祖父名義の土地があるので、それを私の名義に変えるために、遺産分割協議の署名を集めてほしいとい…

建物の保存登記

昨年の7月に「実家を下見させてください」という人が来たときに、「名義が書き換えられているのは田舎では珍しい」と言われたことがあった。 そのときは単純に、「実家の土地や建物が先祖の名義のままで、亡くなった後も書き換えられていない」という意味に…

自分でする登記の申請

登記の申請を自分でするのは初めてであり、戸惑うことも多かった。 最初に戸惑ったのは、申請書の様式だった。 役所に提出する一般の申請書と比較して、記載項目の順番や左右のバランスが異なっている。独特の様式だった。 一般的な申請書類は、上から、申請…

山は売れるだろうか?

近所の人に、「うちの山をタダで引き取ってくれないか」と持ち掛けたことがあった。 その人が持っている田んぼに隣接する山だった。田んぼの際に生える雑草や雑木の枝が邪魔になるので、刈ってほしいと毎年のように言われていた。 山に生える草は、茎が太く…

専任媒介と一般媒介

不動産屋との媒介契約は、媒介をどう依頼するかによって契約の方式が異なっている。 具体的には、専属選任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがある。 どの方式を結べばいいのだろうか? 専属選任媒介は、特定の1社に依頼する。他の宅建業者に重複…

仏壇は一家に2基それとも1基?

仏壇は夫婦別々に設置するのか、それとも一家に1基でいいのか? 実家には立派な仏壇が据えられていた。高さは自分の身長と同じくらいあった。母が毎日熱心にお参りしていた。それを処分するのは抵抗があったが、実家を処分するために仏壇を含めて不用品はす…

実家の相続登記

実家の相続登記はどのようにして行われたのだろうか。実家の蔵の中の手提げ金庫から出てきた登記済証で振り返ってみる。 回数としては2回にわたって行われていた。いずれも司法書士に依頼されている。 1回目は、私がまだ10才のときで、父親が亡くなってすぐ…

筆数加算

司法書士に登記を依頼した場合、報酬としていくらかかるか? 平成8年頃、実家の相続で登記漏れがあることがわかって、その登記を依頼したときの領収書が残っていた。次の4件の登記を依頼していた。 高祖父名義の土地(山林) 1筆 16,800円 曾祖父名義の土地(…

土地の登記済証

自分で移転登記申請することを決めて、もう一つの不安材料は登記済証だった。 登記済証がなくても移転登記することはできるのではないか、と思っていた。 調べていくうちに、登記済証は本人確認のための資料ということが分かった。登記済証を有する者が登記…

司法書士へ依頼する意義

移転登記を自分ですると言ったものの、不安がないわけではなかった。 登記の経験は全くなかった。 まずは何が必要か調べる必要があった。 それより問題だったのは、「買い手となる相手をどこまで信頼するか」ということだった。 相手を信頼しないことには契…

実家を修繕する損得

手放す予定の実家を修繕することの損得を考えてみた。 修繕の目的は、維持管理と売却が容易になることの2つだった。 一般的には資産価値の増加が期待できるが、我が実家の場合、築100年以上のため、あまり期待できない。さらに、修繕することで、ほかに不具…

実家に戻るという選択

現役の頃、リタイアしたら実家に戻って悠々自適というのを考えなくもなかった。 春から秋の間は気候も良く、実家で野菜を作って過ごし、冬寒くなれば横浜に戻る。そんな生活を思い描いたこともあった。 しかし、実際にリタイアしてみると、そんなに甘くはな…

実家の維持管理コスト

実家の維持管理には毎年結構な費用が掛かっていた。 帰省費、税金、草刈り代、浄化槽の点検費用など。 その中で最も大きかったのが帰省費だった。 年2回は帰省していた。状況によってはそれ以上帰省することもあった。夫婦で帰省すると経済的にも大変なので…

物件としての実家の状況

物件としての私の実家は大まかに次のようであった。 敷地面積 670m2 建物面積 115m2 土地面積 農地:9,800m2、山林:97,600m2 建物 木造平屋建て6LDK 建築年 1926年 増改築 1975年 特記事項 眺望が良く、裏を流れる川は夏にはホタルが舞う。納屋、蔵があり、…

私の実家

私の実家は広島県北部の山あいにある小さな集落にあった。 町の中心部から10kmほど離れた30戸ばかりの農家の集まった小さな集落だ。信号機はもちろん自動販売機もない。 標高は400mを超え、一昔前まではクーラーがなくても夏を過ごせた。その分冬は寒く、雪…