空き家バンクに登録する写真の撮影のため、役場の担当者と不動産屋さんがやってきた。
家の中は、テレビ、冷蔵庫、レンジ、洗濯機、エアコン、二人分の食器と布団、それらを残して、ほかはすべてなくなっていた。
撮影は簡単に終わった。
一段落したところで、役場の担当者に尋ねた。
「空き家バンクに登録して売れる物件というのは、どんな物件ですか?」
担当者が言った。
「売れるかどうかは、ロケーションと不用品と価格の3つです」
ロケーションは、町の中心部から遠く離れた物件もあるので、通勤や通学の便がいい方がいい。でも、ぽつんと一軒家みたいに離れていた方がいいという人もいるので、これは買い手さん次第。
不用品に関しては、家の二階や蔵の中に先祖が使っていたものが置いたままになっていて、そこには手を付けないでとか、立ち入らないでとかいう条件を出される人もいて、そういうのは敬遠される。
価格は、高いかどうかは買い手さん次第。先祖から引き継いだ家や田んぼだからといって下げないで頑張ってる人もいる。
担当者は言った。
「ここは眺めもいいし、不用品も処分されたので、価格さえ折り合いがつけば売れるんじゃないですか」