私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

1月26日 農業委員会での審議

不動産屋からの電話の後も歩き続けていた。「自宅に戻って調べて折り返す」とは言ったものの、不愉快な気持ちが収まらず、すぐには戻る気になれなかった。

しばらく歩いていると、また着信があった。

今度は町役場の担当者からだった。

「○○番の農地ですが、現状が山林ではないかという指摘があったんですが?」

「今外に出ていて、手元に資料がないので、はっきりとは言えませんが、杉の木が植わっていたところかと思います」

「現状が農地でないところは許可が出せません」

「先日の現地確認では何も問題指摘はなかったじゃないですか?」

「現地確認した人は、はっきりとはわからなかったようです」

「許可が出せないとなると、どうなるんですか?3月に引き渡しを予定しているので、それに間に合わなくなると困ります」

「どういう対応ができるか内部で相談してみます」

と言って電話が切れた。

 

ウォーキングどころではなくなった。すぐに自宅に取って返した。

自宅に戻ると、図面を取り出して指摘のあった土地を調べてみる。間違いない。杉の木が植わっていたところだった。以前は杉の苗を育てていたが、手が行き届かなくなり、いつの間にか大きくなっていった。杉の枝が落ちてきて邪魔だと隣地が言うので、数年前に全部伐採していた。伐採したものの、根元が残っていて「畑」ではなくなっていた。「公衆用道路」の方に関心が行って、ここも非農地に該当することに気付いていなかった。

 

町役場に電話した。まだ委員会は継続中のようで、担当者は席に戻っていなかった。伝言を頼んで折り返しの電話を待った。

正午を回った頃、役場の担当者から電話が入った。

「現況が山林になっている部分は、非農地の認定申請に追加して認定することになりました」

「どういうことでしょう?」

「譲渡の許可は、現況が山林の農地を除外して許可書を作成し、その分は非農地の認定に追加して認定書を作成します」

「申請書を差し替えなくてもいいということですか?」

「この申請書をもって対応します」

まさに神対応だった。

「ありがとうございます」

「これ以外にも現状が非農地になっているところがありますか?そこも非農地の認定を出します」

「それでは○○番の土地も追加してください。よろしくお願いします」

電話の向こうに向かって深々と頭を下げていた。