石材屋さんが送ってきた墓のデザイン(形)は全部で4つあった。その中からこれというものを一つ選んだ。それは、洋型で竿石の部分に縦のラインが入っていた。
そこにどんな文字を彫るのか、そのときはまだ決めていなかった。
だから、選んだデザインがどういうことか、わかっていなかった。自分たちの希望のデザインを選ぶことができたから、後は文字を決めるだけと思っていた。
しかし、竿石の部分に縦のラインが入っているということは、そこに彫る文字も縦書きが適しているということだった。そこに気付いていなかった。
自分たちは、洋型の墓石に横書きの文字をイメージしていた。
選んだ竿石のデザインは、洋型の墓でありながら和型の雰囲気を残すものだった。縦に入っているラインはそのような意図だったのだ。だから文字も縦書きの方がしっくりする。
そこに気付いていなかったために、後になって文字のことでもめることになる。