私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

6月18日 妻に黙って帰省

墓石のデザインの変更は無理だとわかった。

今のデザインで文字をどうするか早急に決めないといけない。

実家の不用品の処分、台所の床の修理、漏水、草刈り、やることは山ほどあったが、どれから手を付ければいいか、考えがまとまらない。初盆もまだ終わっていない中、早々に遺品の処分を行うと、親せきや近所から何を言われるかわからない。そんなことが気になって、何一つ手を付けることができなかった。

傍からみると、何もしていないように見えただろう。妻から叱責の一言が飛んできた。

「いつになったら実家の片づけを始めるの?」

私は返事ができなかった。

ここにいては何も決まらない。何も始まらない。

そう思うと、黙ってバッグに着替えを詰め込み、寝袋を持ち、まだ100kmも走っていない新車に乗り込んだ。

エンジンを始動し、ナビに目的地を設定した。実家まで800km、11時間の行程だった。疲れたらサービスエリアに車を止めて寝袋に入って眠ればいい。そう思って車を出発させた。妻には黙ったままだった。

 

案外と快適なドライブだった。渋滞はほとんどなかった。ナビとクルーズコントロールが車速と車間を一定に保ってくれ、ナビの指示どおりにハンドルを操作するだけだった。

 

大阪に入る手前で雨が降り始めた。実家まで一気に走ることも可能だったが、真夜中に実家に着いても仕方ない。加西SAまで来たところで車を止めた。雨の音でほとんど寝ることができなかった。