私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

6月20日 登記の本人申請のいきさつ

不動産屋さんが実家の下見にきた。

不動産屋さんの車が着くと、助手席から女の人が一人降りてきた。不動産屋の奥さんだった。奥さんが同行するとは聞いていなかった。

庭に立って実家の建物を見るなり奥さんは言った。

「わぁ~!いいですね。まだ新しそうだし、眺めもいい!」

遠くに青くなだらかに傾斜する山の稜線が見渡せた。

私は言った。

「ここの景色だけは気に入ってるんです。ここでレストランでもできるといいんですが」

「わぁ~!いいですねぇ!」

 

家の中に入ってもらった。

中を案内すると、「わぁ~広い!」とか、「わぁ~きれい!」とか、なぜか高評価の連発だった。

家具類はほとんど手付かずだった。仏壇もそのままだった。奥さんは言った。

「家具とかはそのまま置いていていいんじゃないですか?後に入る人が使うというかもしれないから。仏壇もそのままでいいですよ」

 

そんな会話の後、物件状況をざっと説明した。

「山林が10ヘクタール。農地が田畑あわせて1ヘクタールあります。これがまとまっていればいいんですが、バラバラに離れているんです」

「そうなんですか?」

「全部で50筆になります」

「そんなにあるんですか!

「ええ」

「移転登記を司法書士さんに依頼すると、手数料が1件2万円として100万円かかるので、その分を売買価格から値引く必要がありますね」

「どうして?」

司法書士さんへの手数料は買主負担なので、その分が売買価格に上乗せになると、負担が大きくなるからですよ」

「売買契約が1本なのに、筆数で手数料をとるのは取り過ぎでしょう?」

「そういう習わしですから」

「それなら自分でやります。自分でできるとネットにも書いてありましたから」

「ご自分でされるんですか?」

「できるかどうかわかりませんが、まぁやってみます。それに分筆や合筆が複雑に入り組んでいるので、司法書士さんでも簡単には理解できないと思います」

 

こうして自分で移転登記することになってしまった。