私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

11月3日 購入希望者

空き家バンクに掲載された日の翌日、早速「売ってください」という人が現れた。

スマホに直接電話がかかってきた。

「もしもし。〇〇といいます。Hさんから番号を教えてもらいました。山を買いたいんです」

「えっ!山をですか?」

「はい。林業をやっていまして、山が欲しいんです」

「家も田んぼもあるんですが、そちらはいらないんですか?」

「それも一緒です」

「ありがとうございます」

「私が一番ですよね?」

「役場に申し込みがあったかどうか知らないので、何とも言えないですが」

「私が申し込み順位の一番と認めてほしいんですが」

「電話を一番にもらったという意味では間違いないです」

「よろしくお願いします」

 

なぜ「一番」にこだわるのか、よくわからなかった。

 

翌日、役場の担当者から連絡がきた。

電話をかけてきた人とは別に2件の申し込みが来ていた。1件目は市内に住んでいる30代の夫婦。会社勤めを辞めて田舎暮らしをしたいという。2件目も市内に住んでいる70代の夫婦で、老後をのんびりということだった。

どちらにするか決めてくださいと言われて、少し考える時間をもらった。

しかし、答えは明白だった。

広大な山や田畑の管理を安心して任せられるのは、山をくださいと言ってきた人しか考えられなかった。