私の実家じまい

山も田んぼもある田舎の物件は売れるのか?そんな実家じまいに取り組んだ1年間の記録

2月15日 法務局での事前相談

一周忌法要を終えると、移転登記申請の事前相談のため法務局に向かった。

午後2時から30分間の時間をとっていた。

買い手さんとは法務局の玄関先で合流することにしていた。

確認したいことは3つあった。申請書の記載や添付書類に不足がないか、補足資料の要否、そして申請書類のホチキス留めのこと。移転登記申請は初めてであり、いろいろとチェックしてもらう必要があった。

あらかじめ準備していた登記原因情報をもとに売買契約の内容を説明した。「売買契約の締結はこれからです」というと、担当官は「まだ契約してないんですか?」と、拍子抜けした感じだった。今後変わるかもしれない契約書をもとにチェックしてもしょうがないと思ったのだろう。

申請書の記載では、よくわからずに「登記識別情報を提供することができない理由」のところにチェックを入れていたが、「登記済証を添付するならチェックを入れなくてよい」と指摘された。割り印の位置と捨印を押す箇所についても細かく指摘があった。

添付書類は、登記済証、登記原因情報のほかに、農業委員会の許可証、印鑑証明書、住民票、固定資産評価証明書、そして登記経緯説明書を添付するつもりだった。印鑑証明書と住民票は売り手と買い手の両方を添付するつもりだったが、印鑑証明書は売り手の分だけ、住民票は買い手の分だけでいいと言われた。押印も、私が実印、買い手さんは認印でいいということだった。

補足説明資料として登記経緯説明書を準備していた。もちろん添付が義務付けられているものではない。現在の土地の地番と登記済証の地番とが違っていて、その変遷が複雑なので、わかりやすく理解してもらうためにと思って作ったものだった。

登記済証だけで4冊。昭和38年に相続登記したときのもの、昭和50年に譲り受けた土地に関するもの、平成9年に登記漏れのあった分を相続登記したときのもの、そして平成13年に換地処分を受けたときのもの。その間に国土調査による合筆の登記、農地改良事業による分筆の登記があった。登記済証の地番と現在の地番とがどうつながっているか、模式図と一覧表で3枚にまとめていた。

それを担当官に見せ地番の変遷をざっと説明し、申請書に添付しようと考えていると言ったが、担当官はこれという反応がなく、どうでもいい感じだった。かなり時間をかけて作成してきただけに、拍子抜けした。

最後に、申請書類のホチキス留めについて尋ねた。

登記済証が4冊あり、それだけでも1センチくらいの厚さになった。そのほかの添付書類と申請書とをまとめてホチキス留めするのは難しかった。すると、担当官は「登記済証はホチキス留めしないで、透明なクリアホルダーに入れればいい」と教えてくれた。さらに、「登記済証は登記が完了したら申請人に返すから、綴じなくていい」と言った。

その言葉に、おもわず「えっ?」となった。

売買契約では登記済証を買主に引き渡すことになっていて、移転登記が終わったら売主に返すというのは一体どういうこと?

担当官が追い打ちをかけるように言った。

「移転されないで残った土地があったら、売主が登記済証を持っていないとまずいでしょ」

急に不安になった。

登記済証に載っている土地で所在の分からない土地がまだいくつかあった。

その確認が至急必要になった。